今日本は、脱炭素社会に向けて住宅や施設建築への木材利用を強力に推進しています。その背景にある理由は以下の通りです。

オーナー様にとってのメリット

コストメリット

RC造・S造に比べて、木造の方が建物全体の重量が軽いため、地盤改良などにかかる費用が安く済むケースが多く、建設コスト全体も抑えられるケースが多くなります。

減価償却期間が短い

用途によっては、減価償却資産の耐用年数が、RC造39年に比べて、木造の場合には、22年と短いため、資産税対策として有利になります。

木質によるリラックス効果

木材の調質性や、木の香りによるリラックス効果があります。お子さまからお年寄りまで、さまざまな年代の人に安心してくつろげる空間になります。

改修メンテナンスが容易

木造は、RC造と比べて構造がシンプルなので、特殊な工法でない限り、建設後の改修工事やメンテナンスがしやすいと言えます。日本で古くから残っている建造物が木造なのに残っているのは、そのような理由があるからです。

スタッフの満足度UP

木造・木質化の空間では、就業環境が向上し、働く人たちの満足度が向上します。また、人材採用率や定着率の向上にもつながります。

今、なぜ木造なのか

日本の国土面積に占める森林面積は、約66%で、先進国の中では、有数の森林大国です。

その森林が、現在大変な危機に立たされています。

歴史を振り返ると、日本は、戦争によって多くの森林を失いました。他の資源に乏しかった日本は、多くの森林を伐採して木を資源として使用してきました。

戦後の日本は、失った森林資源を取り戻すべく、国策として植林してきました。今では、日本の森林面積約2,510万haのうち約4割にあたる1,000万haが植林された人工林です。

そうした先人たちの苦労があって、植林された杉やヒノキが50~60年の樹齢となり、建材として使用できる十分な大きさとなりました。しかし、これらが使い切れていないため年寄りの木が増え続け、それよりも若い木が育つことができなくなっています。それでは、持続可能な状況とは言えません。だから、これらの木をたくさん使っていきましょうというのが今の日本の考え方なのです。

平成22年5月 『公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律

Q.木を伐採することは、環境破壊にならないの?

と思われるかもしれませんね。大事なのは、バランスです。そのために間伐するというメンテナンスが必要になります。

樹齢の大きい木ばかりが残っていると若い木は育ちにくくなります。

野菜を育てる時に畑に種をまいた後、間隔をつくるために間引いて育てることと同じです。

間引く(伐採する)ことによって、木の成長を促します。

また、木は炭素Cの塊のようなものです。ですから、木を燃やすとこのような化学式になりますね。

C + O2 ⇒ CO2

ですので、森林が燃えてしまうと大量のCO2(二酸化炭素)が大気に流失して、地球温暖化につながります。これは、地球環境に良いとは言えないと思います。

しかし、木は育つ過程において、大気中のCO2(二酸化炭素)を吸収し、自分の中に炭素Cを蓄えます。

CO2 ⇒ C + O2

だから、大気中のCO2(二酸化炭素)を減らして、炭素Cを木材としてストックし、更にその木材というストックを建物というストックにしておくことによって、炭素Cを蓄積し大気中に放出しないことが地球環境にやさしくなると言えます。